それは、夏休みに送られてきたものだった。ってきり、俺宛かと思って開けちゃったんだよな。
……母さんの時みたいに、見落としたくなかったし。

そこには、過去の自分へ、未来の木嶋からの思いが綴られていた。

途中でやめたけど。

俺のことが書いてあったから。


「これ。ずっと渡そうって思ってて持ってたんだ。ごめん、俺この手紙読んじゃって…」
木嶋は手紙を受け取った。

……

木嶋 菜留へ

この手紙を読んでる頃には、16歳になっているかな。たぶん、一人で歩く道を選んだんでしょ。でもね、後悔するよ。
……私が、後悔したから。
ずっと一緒にいたかった人たちと分かれるのはすごく辛い。
だってみんな大好きだから。
それに、もう気づいているでしょ?
成宮くんのこと。

別れるなんて、ほんとに辛くて、この身が張り裂けるぐらい。
だって、すっごく大好きだったから。
今の私は、成宮くんにこの話をした後、成宮くんの言葉を聞かずにその場を離れた。
離れてから、どこにいるとか場所すら伝えてなかったのに、さがしてくれたのか、成宮くんから手紙が来て、今更だけど、あの時言えなかったことがあるって…
「それでもいいよ。俺は、お前が好きだから。」
「きっと、水沢も、朝野も同じこと言う。」
そう、書いてあった。

だからね、後悔しないでほしい。
あと、ちゃんと気持ちを伝えてほしい。

……

「……っ」
そばにいたい。
その気持ちは、変わらない。