「海晴くん…」

海晴くんの瞳が不安そうに揺れた。



「私、桜樹のことが大切」

海晴くんの目をまっすぐ見て、自分の気持ちを伝えたい。


「でもね、特別は海晴くん。だって、私のことを特別だと思って欲しいのは海晴くんだもん」


そう言った私の体をぎゅっと抱きしめる腕の強さ。

高い体温。

硬い胸板。


…下心は恋だって、樹里ちゃんが言ってたし。


「海晴くんとの特別な時間を思い出せてよかった…私を、思い出してくれてありがとう」


海晴くんは、うん…とかすれた声で返事した。