「桜樹。あんた、もっとしっかり食べなさいよ!未来にも美味しいものちゃんと、残してあげるから」


樹里、こんな時までお母さんみたい。

みんな泣きながら笑った。

雨に濡れながらも、私達はなかなかサヨナラを言いだせずにいた。


「桜樹、できるだけたくさん残すから。繋がってるんでしょ?今蒔いた種がいつか、花開くとこ、桜樹がしっかり見届けてね」

桜樹が来てくれたから、私達は始まった。

私の止まっていた時間が動き出した。


「僕、この帰り際の作業…合格ラインスレスレだったんだよね。だから、きっといいヒント置いてっちゃうと思うから…」



全部忘れてしまっても、私、必ず桜樹を見つけるから…


「待っててね、桜樹」


「うん、またね」