「なんだ…私。立ち止まったままなのは私だけだったんだ」


笑いながら泣いている私を母は切なそうな顔で見ている。


「ごめん、ごめんね…」


「ちがうの、私。ずっとパパのせいにしていろんなことから逃げていたの。そのことから目を背けてきたから」

ママがパパを忘れることも、パパが他の人と新しい家庭を作ったことも、許せなかった自分がいた。


2人とも、自分の幸せのことばかり考えている。私のことなんて忘れてしまっているんじゃないかった…思っていた。


苦しみ、不安、寂しさ、結局それを抱えながらも歩くことで、違う景色が、時間が新しい世界を見せてくれる。

ただし、自分の足で歩いた人にだけ。

親の都合にふりまわされた、でも、それは私の人生の一部で、それが未来の私を作る一つの要素になる。


いい感じに合わさって、いい大人になりたい。

初めて、大人になった自分を意識した瞬間だった。

未来の私が、思い描くような私であるために。

私、がんばるね。