「ねぇ!今日こそ!」

「は?」

「なんで水やりしてんのか教えてよ!」

「うるせー」


あたしの言葉にため息をつく菊地くん。


「今日もだめかー」


このやりとりが毎日の恒例になりつつある。


「帰るけど、お前は?」

「あたしも帰る」

「行くぞ」


菊地くんがあたしのカバンを持つ。


「え?」

「帰んねぇの?」

「...帰る」


菊地くんについて歩く。


あれ、こんなのはじめてだ。

1週間来てて
一緒に帰るとかはじめてだ。


「お前毎日飽きないの?」

「菊地くんといるの楽しいから」

「俺、水やりしてるだけなんだけど」


菊地くんが苦笑い。


「なんか心地いい」

「ふーん。ま、いんじゃね」


ふって笑う菊地くん。


とくんって胸が高鳴る。

あれ、おかしいな。
この前もこの笑顔見たのに。

ちがう。
全然ちがう。