「形原が好きだよ」


菊地くんがあたしを抱きしめる。


そして続けた。


「勝手に形原も同じだと思ってるけど、さっきも言ってたしいんだよな?」

「...うん」

「よかった」


菊地くんがあたしを抱きしめる力を強める。


「最初はさ、なんでそんな所に水まいてんのかなって興味だけだったんだ」

「俺も。最初はただ迷惑なやつだった」


菊地くんの言葉にふたりで笑う。


「毎日行くうちにだんだんその時間が大切になって」

「うん。毎日来るお前が楽しみだった」


ふたり、おなじように
同じように好きになってったんだ。


「ねぇあそこに種、巻こう」


あたしは抱きしめられたまま言う。


「いいね。俺らの花。花咲か爺さんになれるな」