「話かけようかな」


あたしはぼそっと呟く。


「は?」


横にいた親友の希望(のぞみ)が怪訝な顔になる。


「菊地くん」

「愛音(あいら)?!なんでまた」

「なんか興味がある」

「ふーん」


希望はそこまで興味なさそう。


あたし。
形原愛音(かたはら あいら)

とりあえず好奇心旺盛な
高校二年生


花咲か爺さんな彼は
菊地和斗(きくち かずと)くん。

毎日あそこで水をやり続けてる。


「菊地くん!」


あたしは菊地くんの隣にしゃがんで声をかける。


ふと一瞬だけ
あたしの方をみる。


でもその視線はすぐに元の位置に戻る。


あれ?
いま、目があったよね?

見事に無視、ですか?


でもはじめて近くでみたかも。
いつも寝てるもんね。
教室で。