「奏芽さん、元気でした?」

「元気よ。和斗はますます格好よくなったわね」


奏芽さんが微笑む。


「2年、ぶりですかね」

「そうね、花は?咲いた」

「...咲きません」

「そう、残念」


奏芽さんが残念と言いながら笑う。


...花のことしってる。
もう一人、いたんだ。


「花が咲かないから奏芽さんと付き合えませんね」


菊地くんがぼんやりとつぶやく。


「ね。和斗の告白の返事。あそこに花を咲かせたら付き合ってあげるだったものね」

「はい」


菊地くんと奏芽さんの会話に頭がぼーっとしてくる。


「愛音?大丈夫?」


希望があたしの顔をのぞき込む。


「...帰る」


あたしはそのまま立ち上がって走り出す。


「愛音!?」


希望が呼ぶ声が聞こえたが振り向けなかった。