「菊地くんは花が好きなの?」

「いや、全然」

「水やってるしてっきり」

「だいたいあそこ何もねーだろ」


また笑顔を見せる。


その度にあたしの胸はとくんって音を立てるんだ。


なんだろう。
わかんない。


「...花咲か爺さんなのに」

「それな」


今度はいつもよりもたくさん笑った。


「そんなに笑うんだ」

「お前といるとなんか笑うんだよな」


空を見上げる。


「バカってこと?」

「ちげーよ。楽しいってことだろ」


あたしの頭をぐしゃっとする。


「悪くないよ。結構」


そういった彼は心なしか顔が赤いきがした。


「...いつか、な」

「え?」

「いつか話してやるよ。花咲か爺さんの話」


ニコッと笑う菊地くん。


「...うん」