「……うっとうしい」
「え!?」
「でも俺にそんなこと言ってきたやつ初めて」
そういう、うたくんが。
頬を赤くして戸惑っていたのが可愛くて心臓が爆発してしまいそう。
「なあ、柏木」
「?」
「もう冷蔵庫の物色とか。与太話は終わりにしてさ」
手を引かれ、どこかに連れて行かれる。
(ここは……うたくんの、部屋?)
きちんと整理整頓された落ち着いた空間。
イメージどおりといえばイメージどおり。
強いて言うなら本が多いのがちょっと意外なくらいか。
「次はお前のこと聞かせてもらおうか」
「……へ?」
ソファにわたしを座らせると、うたくんが隣から覗き込んでくる。
――近いっ……。
「どうして学校から家に連絡いっても平気なの」
「それ……は……」
「なんでお前、そんなに色々、他人のことに気づけるんだよ」
わたしには、秘密がある。
だからこそ、うたくんのことが気になってしまったのだと思う。
わたしが不自由なく暮らしていたら。
愛されていたら。
今ほど人の気持ちに敏感になれたかな。
「かまって欲しいのは柏木の方なんじゃねえの」
「…………」
「黙ってると襲うぞ」
「やだ!!」
「……そこだけ全力で拒否るなよ」
「ねえ。うたくん」
「ん?」
「……友達に、なってくれませんか」
「いやだ」
「ええっ」


