この家は、本当に広い。
けれど生活感がないわけじゃない。
「掃除は見る限り行き届いてる。うたくんのシャツはアイロンがしっかりかかってる。うたくんがやってるの?……ううん、皆瀬先生がしてくれてるんじゃないの?」
「柏木、目ざとすぎ」
「夜ご飯を皆瀬先生と食べないのは、お父さんと過ごしてほしいから。きっと、友達と食べてくるからいらないとか言ってるんだろうね。先生が気を使わないように。人気者のうたくんなら、友達からの誘いも多いから不自然じゃないもん」
「たしかに俺はアヤノさんに夜ご飯を作らないようにお願いした。でもどうして俺が二人の応援なんてするんだよ。家に他人が出入りするの、嫌なのに。作るなって言ったのは食いたくないからだ。あの女の料理なんて――」
「やっぱり好きなんだよね。先生のこと」
「……またそれか」
「うたくんのお父さんが皆瀬先生のこと好きになるのわかるよ。もちろん、うたくんや、クラスのみんなが先生好きになる理由も」
ねえ、うたくん。
わたしは先生の秘密を知ってるの。
「どこが。女子の大半が嫌ってる」
「あはは。それは先生が綺麗だからだよ」
わかっちゃった、わたし。
「うたくん、素直になりなよ」


