冷蔵庫にはびっしり食材が詰まっていた。
野菜もお肉も、牛乳も。
冷凍庫には買いだめされた食材や、手作りの料理が小分けに冷凍してある。
今すぐ食べる必要はなく。
食べたいときに、レンジで温めて、いつでも食べられるようになってる。
料理名や保存した日時が細かく記されたこの字、見覚えがある。
「うたくん、料理得意?」
「それなりには。って、俺は手伝わないって言ってるだろ」
「じゃなくて。……いつもしてるの?」
「しないけど」
「……やっぱり」
――これ全部、皆瀬先生が用意したものだ。
「うたくん、言ったよね。皆瀬先生が朝食しっかりとりなさいって言うって。お昼も教室でみんなとお弁当食べてるよね。あれって皆瀬先生の手作りなんじゃない?」
「ああ」
「ふーん。うたくんって、苦手な人のお弁当食べるんだ」
「起きたらもう出来てるからな。いらねえって言っても持たされる。……食べ物に罪はないだろ。捨てるわけにはいかない」
「夕食も本当は準備してくれてたんじゃないの?」
「お前こわいな。ここでの俺の生活みてきたみてえ」
「見てないよ」
でも、わかったかもしれない。
うたくんが、一人で夜を過ごす理由が。


