――うたくん……?
「はあ。帰りたくねえな」
「仲良くしなよ。皆瀬先生と」
「お前には想像できないだろうな。ずっと暮らしてきた家に他人が出入りする違和感。頼もしいと思っていた大黒柱が男の顔して知らない女に甘えてるところなんて見たくなかったし。挙げ句の果に家族になるんだと」
うたくんは、一人で抱えてきたのか。
「聞いてて面白い話でもないだろ。忘れろ、全部」
「うたくん……」
「お節介な自覚ある?」
「それは……ハイ……重々と」
「でも吐き出したらちょっと軽くなった」
「え?」
「……ありがと」
「き、聞くしかできないけど! 聞くだけならいくらでも!」
「はは。どこが聞くだけだよ。思いきり口出して来てるくせに」
「ウッ……」
「まあ話し相手がいるってのも。いいもんだな」
――なにをいっているの?
「いっぱいいるでしょ。うたくんには」
「どこに?」
「どこに……って……」
教室に戻ればみんな、うたくんに集まる。
「友達が」
「友達なんて思ってない。あんなやつら」
うたくんは。
「信用してないの?……他人のこと」
「そうだな」
「……わたしの、ことも?」
「俺がサボってること、言いたきゃ言えよ」
うたくんは。
「……かまってほしいんでしょ」


