【Side/Inaho】 「おにぃぃぃちゃぁぁぁぁぁん!」 「ぅおおっ!?なっ、なんだよ!」 家に帰ってすぐ、お兄ちゃんの部屋に叫びながら入って、机に向かっていたお兄ちゃんに後ろから抱きついた。 音楽を聴いてたみたいで、抱きついた瞬間肩を揺らして振り返る。 私はお兄ちゃんから離れてイヤホンを外す。 「何?また勉強か?」 「そう!もうすぐテストなの!」 手を合わせてお願いすると、やれやれ……とため息をつきながら、机と壁の隙間にしまってあった折り畳みの椅子を出してくれた。