「説明は俺がするよ。俺は佐藤佳喜。
23歳で心愛ちゃんの1つ上。この春からは大学院に行く予定。」

「で、新しくママになる人は?」

「は?そんな人いないけど。」

「は?だって新しく家族を紹介したいって…。」

「だからそれが俺。」

「は?」

 再婚相手はパパと世界を飛び回るのについて行って連れ子は連れ子同士仲良くしろってことかな…。
 まぁパパならやりそうだよね。

 それにしたって新しいママも一言くらい挨拶してくれてもいいのに…。

「ねぇ。何か勘違いしてない?」

「え?何が?」

「俺が新しい家族だよ。んー。簡単に言うと隠し子?」

「は?」

 目を点にして佳喜くんを見ても見つめ返されるだけ。

 えっと…えーっと。

 ママが居なくなってパパも寂しかったんだね。
 だから新しい出会いがあって、えっと子どもを授かったってことかな?

 でもちょっと待って。

 私より1つ上ってバリバリにママ健在の頃なんですけど!

 フツフツと沸いてきた怒りにスゥッと息を吸い込んで

「あんのクソジジイが!」

と口が動く前にそれはストップすることになった。

「また叫ぶとかやめた方がよくない?」

 ニコッと笑顔の佳喜くんの指がシーッの形で口元に添えられている。

何故か私の口元に!

 呆気に取られている私から指を離すとその指を…

な、なめた?

「このリップ甘いね。それとも心愛ちゃんのくちびるが甘いの?」

 色っぽい仕草とキザ過ぎる言葉に悶絶死しそう…。

しそうじゃない。死ぬよ!死ぬ!死ぬ!

この人、絶対に遊び人!危険人物だよ!

パパー!