朝起きるとケイちゃんとなんとなく話づらくて、そっぽを向いて座った。

 ケイちゃんも「おはよう」も言わなければ、もちろんハグチューもない。

 怒ってるのかな…。そう思ってもなんて言っていいのか分からなかった。

 静かな朝ご飯の時間はカチャカチャと食事をする小さな音があるだけ。

 そんな中、スマホがブブッと振動して見てみるとLINEが入っていた。

「あっ。優ちゃんからだ。」

 優ちゃんは地元の同級生。
可愛くてフワフワしている優ちゃんとはずっと仲良しだ。

『こっちに戻ってきたなら遊ぼうよ!』
のLINEにウキウキする。

「優ちゃんって誰。」

 怪訝そうな声のケイちゃんに反発心がムクムクと湧き上がるのが分かる。

「ケイちゃんには関係ない。」

「…俺はココの保護者代わりだ。喜一さんに頼まれてる。」

 喜一さん喜一さんってパパばっかり。

「もう保護者が必要な子どもじゃありません。放っておいて!」

 ケイちゃんを睨み付けるとケイちゃんも鋭い目つきでこっちを見ていた。

 恐い顔したって負けないもん!

 無言のまま食べ終えると部屋に逃げるように2階に上がった。

 しばらくすると玄関を開ける音がしてケイちゃんが出掛けたのが分かった。

 あーぁ。ケンカしたままになっちゃったなぁ。いつもパパとはどうやって仲直りしてたっけ…。

ううん。ケイちゃんはパパじゃないから参考に出来ないや。

 はぁ。とため息をついて下に降りる。

 テーブルの上に紙が置いてあるのを見つけて手に取った。

 殴り書きのようなそれはケイちゃんからの伝言だった。

『今日もバイトをどうしてもと頼まれたから行ってくる。何かあれば連絡して。佳喜。』

 名前の下に携帯番号が書かれている。

 それを登録してから近くに置いてあった封筒を手に取った。

 ママからの手紙だ。

 ママらしい綺麗な字で『さとうここあさま』と書かれていた。それを見てつぶやく。

「ねぇママ。どうしてケイちゃんは私にそういうことすると思う?やっぱりお兄ちゃんだしパパに言われたからかな。」

 ケイちゃんの伝言には続きがあった。
 下の方に控えめに書かれいるそれをもう一度読む。

『嫌かもしれないけど今は俺しかいないんだ。どこに行って何時に帰るのか夕飯はいるのかくらいは教えて欲しい。』