朝になるとほとんど平熱に戻った私は普通の生活ができるようになった。
ただしまだ外出はできないので、家の中だけ。
ダイニングでご飯も食べれるし片付けの手伝いもできた。
普通の生活に戻れても側にいてくれるケイちゃんに夢じゃないんだよなぁと嬉しくなる。
久しぶりに下の階に来て、棚の上に置いてある糸電話が目に入った。
そういえばこれ…。
「ねぇケイちゃん。ママへの電話って…。」
ゴホッゴホゴホッ。
むせてしまったケイちゃんは恨めしげにこちらに視線を送る。
「必要?」
「だって…。」
ごもっともな意見なんですけど…。
「…いいよ。やってやるよ。」
え?と思っていると糸電話の片方を私に渡して、もう片方を手に2階に行ってしまった。
糸がピンと張ったことを確認して、緊張気味に話してみた。
「もしもし?ママ?心愛です。」
しばしの無言…その後に。
「佳喜(よしき)だけど。
混線してるみたいで天国じゃなくて俺とつながったみたいだ。」
ケイちゃんと?
面白い流れに微笑みながらも、改めてケイちゃんから聞く佳喜(よしき)の名前にドキッとした。
「そっかぁ。混線しちゃうこともあるんだね。
じゃ今日はケイちゃんに聞きたいことを聞こうかな。」
そこまで話すと紙コップを耳に当てた。向こうから呆れた声が届く。
「聞きたいことってまだあるのかよ。」
毎日のように質問してるもんね。
でもさ…。
「ケイちゃんはママのことどう思ってる?
まだ忘れたい?それとも好きなだって思ってくれてるのかな。」
ドキドキして返事を待つ。
前は亡くなったママの存在がつらい時もあったかもしれない。
でも今は…違うって思ってて欲しかった。
「あぁ。愛子さんのことは…今でも大好きだよ。」
子どものような大好きの言葉に嬉しくなる反面、ちょっと引っかかる。
「私には「好きだよ」なのに…。」
「クククッ。」
糸電話を通しても馬鹿にしたのが丸わかりの笑い声。
もういい。別の質問するもん。
「ケイちゃんは今、幸せですか?」
また紙コップを耳に当てて待つ。
前はつらそうだった。ここにいることが。でも今は…?
紙コップからフフッと優しい笑い声の後にケイちゃんの声だけどケイちゃんが言ったのか驚くような声が届いた。
「俺の幸せは…ココが笑ってることだって言っただろ?
……ココ、アイシテル。」
アイシテル…アイシテル…愛してる?
かぁーっと赤くなる顔を急いで押さえる。
ケイちゃん…。えっと。えっと。
どうしていいのか分からなくて階段を駆け上がる。
そこにはケイちゃんの姿はなくて紙コップだけ。
部屋をノックするとケイちゃんが返事をした。
「今、顔を合わせるとか無理。」
その返事に余計に恥ずかしくなると再び赤くなる顔を押さえてドアにもたれて座った。
ものすごく恥ずかしいけど、ものすごく嬉しい言葉に幸せを噛みしめた。
しばらくすると向こう側からコンコンッとドアをノックする音と「ドアが開かない」って声がした。
私がドアの前から離れるとドアが開いて少し居心地の悪そうなケイちゃんが出てきた。
「片付けしてなかったから。」
って言って下に降りていく。
さっきのこと聞きたいんだけど、聞いちゃったら私も赤面必至だよね…と思って触れないでおいた。
ただしまだ外出はできないので、家の中だけ。
ダイニングでご飯も食べれるし片付けの手伝いもできた。
普通の生活に戻れても側にいてくれるケイちゃんに夢じゃないんだよなぁと嬉しくなる。
久しぶりに下の階に来て、棚の上に置いてある糸電話が目に入った。
そういえばこれ…。
「ねぇケイちゃん。ママへの電話って…。」
ゴホッゴホゴホッ。
むせてしまったケイちゃんは恨めしげにこちらに視線を送る。
「必要?」
「だって…。」
ごもっともな意見なんですけど…。
「…いいよ。やってやるよ。」
え?と思っていると糸電話の片方を私に渡して、もう片方を手に2階に行ってしまった。
糸がピンと張ったことを確認して、緊張気味に話してみた。
「もしもし?ママ?心愛です。」
しばしの無言…その後に。
「佳喜(よしき)だけど。
混線してるみたいで天国じゃなくて俺とつながったみたいだ。」
ケイちゃんと?
面白い流れに微笑みながらも、改めてケイちゃんから聞く佳喜(よしき)の名前にドキッとした。
「そっかぁ。混線しちゃうこともあるんだね。
じゃ今日はケイちゃんに聞きたいことを聞こうかな。」
そこまで話すと紙コップを耳に当てた。向こうから呆れた声が届く。
「聞きたいことってまだあるのかよ。」
毎日のように質問してるもんね。
でもさ…。
「ケイちゃんはママのことどう思ってる?
まだ忘れたい?それとも好きなだって思ってくれてるのかな。」
ドキドキして返事を待つ。
前は亡くなったママの存在がつらい時もあったかもしれない。
でも今は…違うって思ってて欲しかった。
「あぁ。愛子さんのことは…今でも大好きだよ。」
子どものような大好きの言葉に嬉しくなる反面、ちょっと引っかかる。
「私には「好きだよ」なのに…。」
「クククッ。」
糸電話を通しても馬鹿にしたのが丸わかりの笑い声。
もういい。別の質問するもん。
「ケイちゃんは今、幸せですか?」
また紙コップを耳に当てて待つ。
前はつらそうだった。ここにいることが。でも今は…?
紙コップからフフッと優しい笑い声の後にケイちゃんの声だけどケイちゃんが言ったのか驚くような声が届いた。
「俺の幸せは…ココが笑ってることだって言っただろ?
……ココ、アイシテル。」
アイシテル…アイシテル…愛してる?
かぁーっと赤くなる顔を急いで押さえる。
ケイちゃん…。えっと。えっと。
どうしていいのか分からなくて階段を駆け上がる。
そこにはケイちゃんの姿はなくて紙コップだけ。
部屋をノックするとケイちゃんが返事をした。
「今、顔を合わせるとか無理。」
その返事に余計に恥ずかしくなると再び赤くなる顔を押さえてドアにもたれて座った。
ものすごく恥ずかしいけど、ものすごく嬉しい言葉に幸せを噛みしめた。
しばらくすると向こう側からコンコンッとドアをノックする音と「ドアが開かない」って声がした。
私がドアの前から離れるとドアが開いて少し居心地の悪そうなケイちゃんが出てきた。
「片付けしてなかったから。」
って言って下に降りていく。
さっきのこと聞きたいんだけど、聞いちゃったら私も赤面必至だよね…と思って触れないでおいた。

