佳喜は胸の中から聞こえる規則正しいスースーという寝息にハハッと乾いた笑いを上げる。

「この状況で寝るとか大物だよな。
 ったくこっちは寝られないっつーの。」

 腕を緩めて恨めしげに顔を見つめた後に首すじに軽く噛みついてやった。

「ううん…。」って寝苦しそうな声を発した心愛に「…逆効果」とつぶやいてまた腕の中に戻した。

 もう離さなくていい温もりが愛おしくて確かめるように、もう一度抱きしめた。