「ココは自分の戸籍を見たんだろ?
俺も自分のを見たことがあるんだ。」
え?戸籍?なんのことを…。
「俺のは笑っちゃうくらい空欄なんだ。
母親の欄も父親の欄も。」
私は戸籍を見て、パパ、ママ、それぞれのおじいちゃん、おばあちゃんが載っていて温かい気持ちになった。
でもケイちゃんは余計に寂しく思ったんだろう。
「だから…。ココには相応しくない。」
それとこれとどういう…。
「そんなの関係ないよ!どうして?
私はケイちゃんが…。」
その先を言わせないように、そっと指を口元に添えられた。シーッの形で。
最初はこれでからかわれたけど、今はそんな雰囲気じゃない。
寂しそうなケイちゃんの瞳と目があった。
「ココは知らないから言えるんだよ。
誰も身内がいなくて捨て子だった奴が普通に生活できるわけない。
大学まではいいかもしれないが…。普通に就職だって無理だ。」
そんな…。
「でも料理人になるんでしょ?就職って…。」
「たとえ話だよ。他にも親のことなんて関係ないだろってことで嫌な思いをいっぱいしてきた。」
苦しそうに吐き出したケイちゃん。
でも、だったら!
「それならパパやママが考えてたみたいにパパの息子になればいいよ。」
「は?何、言って…。
そんな簡単なことじゃない。」
「簡単って何?
それで済むならそれでいい。」
ケイちゃんは馬鹿にした顔を向けたまま。
こいつに何を言っても無駄かと言いたげな目までしているように感じてしまう。
それでも言わずにいられなかった。
「だいたい最初はそういう話だったんだよね?
私が…子どもの時にキスなんてしなかったらケイちゃんはそんなつらい思いしないで済んだかもしれないのに…ゴメン。」
沈黙が流れて、ため息混じりの声がした。
「それをココが言うとか卑怯だろ。」
「だから卑怯って何が!」
はぁと大きなため息をつかれて、ケイちゃんがまた覆い被さってきた。
こっちもぷりぷり怒っているんだから今は怖いことなんてない!!
…そんな目されても怖くないんだからね!
「こんなことしちゃうお兄ちゃんとか犯罪だろ…。」
そうつぶやいたケイちゃんが今度は頬に優しくキスをした。
ど、ど、ど、どうしちゃったの?って思っていると色気だだ漏れの時のケイちゃんの気がする。
まずいかも…。本格的にやばいかも…。
顔が真正面から近づいてきて、近づいてきて…思わず押しのけてしまった。
「ハハッ。さっきは自分でしてきたくせに。」
馬鹿にしたような声を出すケイちゃんはベッドの端に腰掛けた。
髪をクシャッとさせてハハッと乾いた笑い声を出す。
「だから無理だって話。」
それって…。それって…。
「だからって……だからの部分をもう少し分かりやすく…。」
出て行ってしまいそうなケイちゃんの服の端をつかんで質問する。
「……だいたい俺が側にいると居なくなっちまうって言っただろ?疫病神なんだよ。」
寂しそうに見える背中に思わずギュッと抱きついた。
「あの…大事だから側にいたいけど、襲いたくなるから、お兄ちゃんは無理ってことでいいですか?」
「な…。」
自分で言ってて恥ずかしいけど、だって要約するとそういうことでしょ?
「調子に乗るな…。そんなわけないだろ。
ただ能天気なお姫様の側にいると滅茶苦茶にしたくなるから無理って言ってんだよ。
離せよ。」
「そしたらココに相応しくないとか関係ないもん。
ケイちゃんが側にいてくれるって言うまで離さない。」
わけわからない押し問答をしていると机の上のケイちゃんのスマホがブーッブーッと騒がしい。
「離せよ。」
「ヤダ。」
「スマホ見るだけ!」
渋々離すと立ち上がったケイちゃんの後に私も続いて服の端をもう一度つかんだ。
ジロッと見られたけど、絶対に服の端を離さないんだからね!
俺も自分のを見たことがあるんだ。」
え?戸籍?なんのことを…。
「俺のは笑っちゃうくらい空欄なんだ。
母親の欄も父親の欄も。」
私は戸籍を見て、パパ、ママ、それぞれのおじいちゃん、おばあちゃんが載っていて温かい気持ちになった。
でもケイちゃんは余計に寂しく思ったんだろう。
「だから…。ココには相応しくない。」
それとこれとどういう…。
「そんなの関係ないよ!どうして?
私はケイちゃんが…。」
その先を言わせないように、そっと指を口元に添えられた。シーッの形で。
最初はこれでからかわれたけど、今はそんな雰囲気じゃない。
寂しそうなケイちゃんの瞳と目があった。
「ココは知らないから言えるんだよ。
誰も身内がいなくて捨て子だった奴が普通に生活できるわけない。
大学まではいいかもしれないが…。普通に就職だって無理だ。」
そんな…。
「でも料理人になるんでしょ?就職って…。」
「たとえ話だよ。他にも親のことなんて関係ないだろってことで嫌な思いをいっぱいしてきた。」
苦しそうに吐き出したケイちゃん。
でも、だったら!
「それならパパやママが考えてたみたいにパパの息子になればいいよ。」
「は?何、言って…。
そんな簡単なことじゃない。」
「簡単って何?
それで済むならそれでいい。」
ケイちゃんは馬鹿にした顔を向けたまま。
こいつに何を言っても無駄かと言いたげな目までしているように感じてしまう。
それでも言わずにいられなかった。
「だいたい最初はそういう話だったんだよね?
私が…子どもの時にキスなんてしなかったらケイちゃんはそんなつらい思いしないで済んだかもしれないのに…ゴメン。」
沈黙が流れて、ため息混じりの声がした。
「それをココが言うとか卑怯だろ。」
「だから卑怯って何が!」
はぁと大きなため息をつかれて、ケイちゃんがまた覆い被さってきた。
こっちもぷりぷり怒っているんだから今は怖いことなんてない!!
…そんな目されても怖くないんだからね!
「こんなことしちゃうお兄ちゃんとか犯罪だろ…。」
そうつぶやいたケイちゃんが今度は頬に優しくキスをした。
ど、ど、ど、どうしちゃったの?って思っていると色気だだ漏れの時のケイちゃんの気がする。
まずいかも…。本格的にやばいかも…。
顔が真正面から近づいてきて、近づいてきて…思わず押しのけてしまった。
「ハハッ。さっきは自分でしてきたくせに。」
馬鹿にしたような声を出すケイちゃんはベッドの端に腰掛けた。
髪をクシャッとさせてハハッと乾いた笑い声を出す。
「だから無理だって話。」
それって…。それって…。
「だからって……だからの部分をもう少し分かりやすく…。」
出て行ってしまいそうなケイちゃんの服の端をつかんで質問する。
「……だいたい俺が側にいると居なくなっちまうって言っただろ?疫病神なんだよ。」
寂しそうに見える背中に思わずギュッと抱きついた。
「あの…大事だから側にいたいけど、襲いたくなるから、お兄ちゃんは無理ってことでいいですか?」
「な…。」
自分で言ってて恥ずかしいけど、だって要約するとそういうことでしょ?
「調子に乗るな…。そんなわけないだろ。
ただ能天気なお姫様の側にいると滅茶苦茶にしたくなるから無理って言ってんだよ。
離せよ。」
「そしたらココに相応しくないとか関係ないもん。
ケイちゃんが側にいてくれるって言うまで離さない。」
わけわからない押し問答をしていると机の上のケイちゃんのスマホがブーッブーッと騒がしい。
「離せよ。」
「ヤダ。」
「スマホ見るだけ!」
渋々離すと立ち上がったケイちゃんの後に私も続いて服の端をもう一度つかんだ。
ジロッと見られたけど、絶対に服の端を離さないんだからね!

