あっという間に、昼休みが訪れた。

 授業中とは打って変わって、教室が途端に賑やかになる。幸いにしてあたしを朝のことでからかってくる人は一人もいなくて、有難かった。

 「〇〇に見とれてただろ」的な先生の八つ当たりを、前にも受けた子がいたからだ。しかも誤解で。

 彼女もよっぽど嫌だったんだろう。

 その子が「あれは酷い」とあたしよりも憤慨してくれて言いふらしてくれたお陰で、あたしは「好きな人をバラされたかわいそうな子」よりも「雑用係に任命されたかわいそうな子」という認識の方が強かった。

 だけど、有紗だけは違った。
 
 いつもは休み時間ごとに有紗が飛んでくるけど、今日は全くその素振りがないまま昼休みだ。

 つまり、あたしから行かなきゃいけないんだ。

 いままでは待っていればそれで良かった。だから、あたしからの近づき方がわからない。