そうだ、この人は有名な極道の若頭
近寄ってくるのはお金ほしさの連中
ほかは怖じ気づいて近寄ってなんて来ない
「しょうがないんじゃないですか?
知ろうともしない人が怖がるなんて
仕方のないことでしょ?
だけど、こうして貴方を知って、感じて
見れば、そんなの関係なくなる」
人は確かに腐った中身の人間もいる
だけど、この人の目はすごく綺麗だ
本当に若頭なのか…噂で言われる
『夜の皇帝』なのか…疑うほど
「あ、すみません…何かお世話になって…
すぐ出て行きますので」
パシっ
「へ?」
「行くな」
いきなり捕まれた腕から伝わってくる
暖かい体温…
この何日か感じていなかった感覚
「私といたら…狙われますよ」
「は?」
「私、化け猫らしいんです。
前までいた街も追い出されてここにきました。
今でも、あいつらは私を探してる」
裏切り者の私を探し続けて閉じこめる
さっさと離せばいいのに
あいつらは私を捕まえる…

