武史さんと夏世さんが帰ってしまったので、朝陽さんと夜景を見に行く事にした。


朝陽さんと手を繋ぎ人混みの中を歩いていると、思いきり誰かにぶつかる。


すみませんと言おうとすると。


「おい、謝れよ。まぁ、いいや。謝る変わりに俺と付き合え。」


かなり酔ってるみたいで、捕まれた手を必死で離そうとしても離してくれない。


朝陽さんが私を腕の中に閉じ込めた。


「はなの手を離しなさい。離さないなら警察を呼びますよ。」


「警察だとぶつかったのはこの女なんだぞ。おまえは何様のつもりだ。」


朝陽さん、怖いよ。


はな、大丈夫だからと強く 抱き締めた。


その時、その男が朝陽さんに殴りかかろうとする。


駄目、朝陽さんが危ない。


「はな、離れていなさい。」


たくさんの人がいるのに誰も助けてくれない。


スマホを耳に当て、警察ですか?


そう大きな声を出すと。


男は慌てて逃げて行った。


朝陽さんに近づくと。


「はな、おまえってやつは。」


人混みの中で朝陽さんが又強く抱き締める。


みんなに見られてるし、恥ずかしい。


「はなに守られてしまったな。あの男をあのまま殴っていたら、大変な騒ぎになってたと思うよ。」


私は守られるだけでは嫌だ。


私にも朝陽さんを守らせてほしい。


「はな、このままホテルに帰ろ。はなをたくさん愛したくてたまらない。」


え、それは、そう言う意味ですよね。


嬉しいけど、回りに聞こえてないか、心配です。


回りを気にすることはないと言うけど。


いきなりお姫様抱っこをされてしまった。


バタバタ暴れると、又誰かにぶつかるといけないからねと、さらりと言う。


でも、でも、恥ずかし過ぎます。


タクシー乗り場迄ずっとお姫様だっこのままで。


仕方なく諦めました。