武史さんがまじまじと私の顔を見た。


え、何、私なにか間違った事を言ったの。


「朝陽、早く白状しなさいよ。好きな人は誰なの。」


いきなり、聞くのは怖い。


武史さんが笑いだした。


益々分からないんですけど。


「朝陽、この際はっきりさせろよ。夏世も朝陽の事は諦めろ。お前には俺がいるし、お前は母親になるんだから、酒は飲むな。」


え、夏世さんは妊娠してるの。


待って、頭がついていかない。


朝陽さんが大きなため息をついた。


「俺がずっと好きだった人はなだけど。5年前にはなと運命的な出会いをして、ずっとはなを思い続けて、結婚出来て幸せだと思ってるよ。」


え、ずっと好きだった人って私。


あ、そんなことを朝陽さんから聞かされた事があったような。


嬉し過ぎて、涙がこぼれた。


だって、5年間も思い続けてくれただなんて。


朝陽さん、ありがとう。


「バカ、バカしいわ。」


「夏世、いい加減にしろ。」


「分かってるよ。私の旦那様は武史、武史の事は好きだし、愛してるけど、武史の愛情を確かめたかったの。」


そんなものですか。


私はまだまた経験不足で、愛情を確かめたいとか、未知の世界。


私は朝陽さんが好き。


朝陽さんを愛してる。


だから、朝陽さんにもいつも私と同じ気持ちでいてほしい。


夏世さんが酔って寝てしまい、武史さんが連れて帰って行った。


あいつらはいつもあんな感じで、夏世は武史の愛情を確かめてるのだと朝陽さんが言う。


夏世さんは武史さんに愛されてるし、夏世さんも武史さんを愛してるのに、不安になるのだと思えた。