────ポン、 もう何度目か分からない、彼の手が私の頭に乗った。 「宮野」 「……ん」 「ほらー、泣くなってー」 クシャ、と髪を撫でられる。 目の前には、少し無理して笑う真田くんがいた。 「…ありがとな」 小さな声が、そう聞こえた。 私には聞かせたくないんであろう、本当に本当に小さな声。 こちらこそ、好きになってくれてありがとう。 いつか、真田くんにお似合いの、素敵な人が見つかりますように。 「───可奈」 その声が聞こえたのは、そんな時だった。