「ん?どうしたの、春香ちゃん?」

「もう暗くなってきたから帰るから」



あたしが窓の方を見ているから気づいたように顔を縦に振った。



「あー、暗くなってきたね〜じゃ、早く帰らないとね」


古びた階段をおりお茶を飲んだ部屋で鞄をとった。


「じゃあ、またね」

鞄を片手に持ち手を振り重い扉の玄関を開ける。


「ばいばーい」



あの子は両手をいっぱいに広げて手を振っていた。まるで無邪気な子どもの様だ。