でも、卒業式の日。奇跡は起こった。



『なぁ、これやるよ』



ふいに呼び止められた私の手に握らされたのは、1つのボタンだった。




『これって……』



『俺の第2ボタン。

お前に持っていてほしいんだ』




────ドキッ。



どうしてそんなこと言ったの?



好きでもない相手に、どうして。




その日以来、ケンくんには会っていない。



だから、その謎は今も私の中でグルグルと回り続けている。