「久しぶりだなここ」裕がきたのは昔、誠が守と裕を連れてきてくれた旅館。今は、もう営業していないため誠の友達で元幹部の大倉が誠に預けた旅館。裕は中に入るとまだ中が綺麗なことに驚いた。裕は、電気をつけた。誠に渡した時に条件として電気と水道をまだ通して置いたのだ。裕は、部屋一つ一つを確認すると持っていたナイフ、拳銃などの刃物を、一つの部屋に集めてその部屋に鍵を閉めた。ポケットナイフだけジャケットのポケットにしまった。そして、サングラスと帽子を深くかぶると買い物に出かけた。もちろん、旅館の鍵を閉めて。近くにスーパーもインテリアショップも揃っていた。何枚か服と布団を買うと夕食を済ませて旅館に戻ってきた。旅館の中は、寒くも暑くもなかった。一つの部屋に布団を敷き、もう一つの部屋に買った服をしまった。すごく広い旅館は、一人で使うと寂しかった。お風呂は、お湯が出るため快適だった。久しぶりにお風呂にゆっくり入った気がしていた。いつもは、いつ呼び出されるかわからないためピリピリした空気が流れていた。裕は、服のセンスが抜群に良かった。そのため、守からは『センスの神』と呼ばれていた。そして、多忙な1日が終わっていった。
次の日、裕は他の必要なものを買いにインテリアショップブラウンに向かっていた頃だった。恐れていたことが現実になってしまったのだ。それは、テレビのニュースで流れた。
「昨夜、公園にて佐々木龍さんと見られる遺体が発見されました。警察は、死因を殺しとみて捜査しています。」裕はそのニュースを聞いて青ざめてしまった。『どうして、あの時二人だけにしたのか』自分を責めた。もし、あの時自分が二人を監視していればこの事件は起きなかったのではないかと。裕はみきのことが心配になった。ニュースの最後に警察の番号が流れた。裕はすぐに電話をしたいと思ったが、辞めた。裕は昔警察に世話になっていたことがあったのだ。