裕は、今にも意識を無くしそうだったが、ショックのあまり意識がもうろうとしているみきが心配だった。「大丈夫か」裕はみきを近くの病院まで連れていった。「すみません」裕がカウンター越しに叫ぶと一人の女性が出て来た。「大丈夫ですか」その女性の名札には外科医ナース:佐皆なみと書いてあった。「あの…」裕はみきの診察を頼んだ。「大丈夫ですよ。怪我は全治2ヶ月ですが命に関わりはしませんから。」なみは、裕を病室まで連れていった。みきは、眠っていた。「ご家族の方ですか」白衣を着た若い男性が言った。「あ、違います」「では、家族の誰かと連絡できますか」裕は頷くと絶対にやってはいけないことをした。みきのたった一人の家族、佐々木龍に電話したのだ。「はい、佐々木です」「佐々木さんですかあなたの妹のみきさんが入院しました。」裕は、出来るだけディストロイヤーのことは伏せていった。「マジかよ。あー、どうしよう。今、そちらにいけない状況でして」裕は電話越しから揉め声を聞いていた。「あなたも大変ですね」そう言うと電話を切った。「すみません。今、こっちに来れないそうで代理を頼まれました。何か」「あ、そうですか。こっちに来てください」裕は、会議室らしき場所に連れてこられた。「あのですね、佐々木さんのことですが…内科の方でも見てもらった方がいいですね。心理的に不安定なんです。後、記憶障害を引き起こしている可能性があります。」「そうですか…」裕は病室に戻ってきた。なみは、みきの着ていたものを整理していた。「あ、後はよろしくお願いします」なみはそう言うと病室を出て扉を閉めた。「大丈夫だよな」裕は心配そうに言うとベッドの隣に置いてある椅子に座った。それから、疲れていたのか裕は眠ってしまった。次に起きたのは病室の扉が開く音を聞いてからだった。裕が目を覚ますとちょうど龍が入って来たところだった。「あ、佐々木さんですか」裕は目をこすりながら言った。「あ、はい。」噂には聞いていたが龍は、モデルのようにスタイルが良かった。「みき」龍は、呟くとベッドのそばに来た。「あ、僕はこれで」「あの、すみませんでした。みきがお世話になりました。」龍はそう言うとみきの手を取った。裕は病室を出ると病院から抜け出した。「もう、夜になってる」裕は空を見てから車に乗り込んだ。裕はどこに行くべきか…そして組織から逃げ続けることはできないことどっちもをいっぺんに考えていた。裕は悩んだ結果ある場所に行くことにした。それは、思い出の場所。