垣内さんが座敷にお茶を用意してくれているとのことなので、私も荷物の確認は後にして咲夜さんの後に続いた。
「咲夜様、佐倉先生。お待ちしておりましたぞ。さぁ、席について垣内特製の茶菓子を召し上がれ」
「えっ!?そのお菓子、垣内さんが作られたんですか!?」
机の上にあるのはどう見ても売り物としてお店に並べられているものに遜色(そんしょく)ない。
伝統的な和菓子、上生菓子というのだろうか、その菓子は全て花を形どられていた。
とても技巧のいるモノだということくらいは門外漢でもさすがに分かる。
「えぇ。下手の横好きというやつですな。練習していくうちに咲夜様達に出しても問題ないくらいになりましたわ」
「これ、全っ然下手なんかじゃないですよ。むしろ器用すぎます」
「ほっほっほ。爺を褒めても何も出やしませんぞ」
「もう十分なもの出されてるじゃないですか!」
私が垣内さんが作ってくれたお菓子を褒めちぎっていると、横で何やらもそもそっと動いた。
見ると、咲夜さんが床の間の前で蹲(うずくま)って何かをしている。
さらに顔を伸ばして見てみると、床の間に飾られた生け花の角度を色々と変えていた。



