咲夜さんの案内の元、あらかたの部屋を周り、だいたいの配置は覚えた。
もともと覚えることに抵抗はないし、得意な方だから全く苦にならない。
でも、もし苦手だったら……この部屋数は到底覚えることはできなかったかもしれない。
家の中だというのに迷子になれそうなくらいの量に、なんでこんなに必要なのかとつい思ってしまった。
「こちらが佐倉さんの部屋です」
「ここが……」
部屋の障子を開けて中を覗いてみた。
手入れの行き届いた畳に、文机と座椅子、中央に少し大きめの机が置かれている。
部屋の隅には取っ手の部分に華の意匠をこらされた桐箪笥(たんす)がすでに用意されていた。
入口とは逆側の窓を開けてみると、先程の池のあった庭園へと繋がっていた。
……あれ?
なんだか急にどこかで見たような感覚に襲われた。
この角度から見た景色を他でもどこかで……。
もっとよく思い出そうと顎に手を当てて考え込んでいると、下から咲夜さんが覗き込んできた。
「どうかしましたか?」
「あ、いえ……なんでもないです」
気のせい、だよね?
どこか雰囲気の似た料亭の写真でも見たんだろう。
私は自分で自分をそう納得させた。



