「で、でも、垣内さんは咲夜様って呼んでましたよね?」
「様づけで呼ばれるのは好きじゃないんです。ただ、垣内さんは私が生まれた頃から言い続けているので、今さら変えて欲しいと言うのは可哀想でしょう?その点、佐倉さんは今日からだし」
「では、何とお呼びすれば?」
「咲夜、と」
い、いやいやいやいや!
無理でしょ!
どこの世界に雇い主を呼び捨てにする使用人がいるの!?
お断りだ、断固お断りしなければ。
「すみません。さすがに呼び捨てはまずいので、咲夜さんとお呼びする方向でいかがですか?」
「……分かりました」
すごく渋々って感じだけど、これでもお互いの妥協点良いところついたと思うんだけどなぁ。
小此木さん……咲夜さんは見かけによらず意外と強情だ。
高級料亭を思わせる美しい日本庭園を抜け、私達は木目の引き戸式の玄関から中に入った。



