再会からそれは始まった。

「誰のせいだって?」
会議が思ったより早く終わったので、もう一度気になって下に降りてきたのだ。
あいつは、ソファからずり落ちてまでしてまだ眠り込んでるんじゃないか?と、気になったからだ。

金沢と花は、俺の低い声を聞いて、ビクっとして背筋を伸ばしてから振り向く。
「わ! ボス!」

「ご苦労様。コレでいいよ。一応、営業部にも回して承認もらってから印刷に入ってくれ。」
金沢に指示を出す。

「はいい! では、行ってきます!」
金沢は、緊張した面持ちで慌ててゲラとビジネスバックを抱えて、店舗を出て行った。

花と俺は二人きりになる。

「毎度どうもー。オーケーいただきまして。では、失礼します。」
とクシャクシャと頭をかき、まだ眠たそうな目を伏し目がちにして俺の横をすり抜けるようにして去ろうとする。

「あれ?このひざ掛けは? 誰の?」
花の寝ぼけ眼に、俺はおかしくて少し笑う。

「本当に、クサイな。」
花を見下ろす。

「な!?」
花は、俺を見上げて顔を真っ赤にする。

「来い。」
気が付いたら、俺は花の腕を掴んで歩き出していた。業務通用口に出る。

「どこ、行くの?」

「……………」
俺は、無言でカードキーをかざして 業務用エレベーターに花を無理やり押し込んだ。