ふと、雨の中、もう一度あのレストランの方を振り向いて、中をのぞいてみる。
彼女が金沢の首を羽交い絞めにして、なんだか楽しそうにじゃれあっている。
目をそらして、雨の中を急ぐ。
一つの傘だと自分も秘書の松山もけっこう濡れてしまうくらいの本降りになってきた。
花は、昔っからそうだった。
ボーイッシュな雰囲気で飾り気がなく接するから、男にも女にも年上にも年下にも好感を持たれて、すぐ友達になり可愛がられ、慕われる。
ああいうふうに人と触れ合う事に抵抗がない。
持って生まれた天性だと思う。
俺は、極端にそういうことには潔癖だった。
アメフトをやっているときだけは、何も考えずにタックル組んで、勝利の抱擁もできたんだが。
アメリカに渡って、最初は握手であいさつするのにも躊躇した。
ハグして友愛を表現するのも今では慣れたものの、だいぶ訓練がいったものだ。
そして、そんな俺を少しずつ教育していったのも他ならぬB.C.INCのアメリカ本社のCEOスティーヴだった。
ビルの通用口に到着した。
「ごめんな。やっぱちょっと濡れちまったな。」
松山は、はっとしてうつむき
「いえ。南さんこそ右側のスーツがびしょ濡れです。私の方ばっかり傘かたむけるから。」
「俺は大丈夫だよ。ほら着替えようと思えば、すぐ取りに行ける距離にあるんだし。」
ある意味、あんなに変わらないでいられるなんて奇跡だ。
ほんとに、あいつは高校生の頃から変わっていない。
彼女が金沢の首を羽交い絞めにして、なんだか楽しそうにじゃれあっている。
目をそらして、雨の中を急ぐ。
一つの傘だと自分も秘書の松山もけっこう濡れてしまうくらいの本降りになってきた。
花は、昔っからそうだった。
ボーイッシュな雰囲気で飾り気がなく接するから、男にも女にも年上にも年下にも好感を持たれて、すぐ友達になり可愛がられ、慕われる。
ああいうふうに人と触れ合う事に抵抗がない。
持って生まれた天性だと思う。
俺は、極端にそういうことには潔癖だった。
アメフトをやっているときだけは、何も考えずにタックル組んで、勝利の抱擁もできたんだが。
アメリカに渡って、最初は握手であいさつするのにも躊躇した。
ハグして友愛を表現するのも今では慣れたものの、だいぶ訓練がいったものだ。
そして、そんな俺を少しずつ教育していったのも他ならぬB.C.INCのアメリカ本社のCEOスティーヴだった。
ビルの通用口に到着した。
「ごめんな。やっぱちょっと濡れちまったな。」
松山は、はっとしてうつむき
「いえ。南さんこそ右側のスーツがびしょ濡れです。私の方ばっかり傘かたむけるから。」
「俺は大丈夫だよ。ほら着替えようと思えば、すぐ取りに行ける距離にあるんだし。」
ある意味、あんなに変わらないでいられるなんて奇跡だ。
ほんとに、あいつは高校生の頃から変わっていない。


