再会からそれは始まった。


松山さんに、少し女らしくなってきれいになったんじゃない?と言われ、ちょっとだけドキッとする。
ははは。
まだそういう事にはなっていないけれど、一応昨日からはハッピー全快だし。
それに、この一カ月餌付けされて、いつになく栄養バランスの整った食事をしているし。

ああ、そうだ。
松山さんに言うべき?
いや、あんな傷心失恋トークをしたのに、手のひら返したら怒るよね。

「金沢君も呼ぼうかな。まだ仕事してるかな?」
松山さんは、スマホをいじりながらそう言う。

「あ、いいですね。 金沢君ともずっと飲んでいないし。」
おしぼりで手を拭きながらメニューを見る。
「お刺身、おいしそうですね。」

「うん。すっごく美味しいのよ。老舗の割烹料理屋さんがプロデュースしている和食屋さんだから。」
「へええ。」

「53階にその本店はあるけど。そっちは、下々の者はとてもじゃないけど行けないわ。
あ、ちなみに、南さんは今日はそこで経済界の大物と会食よ。」
「・・・・・・。」

さしずめ、ビル内カースト制だ。
あんな風に南くんに好きだと言われても、何かまだちょっと引っかかるのはこのせいだ。
一緒にいるとそんな事は感じないけれど、こうやって一歩外に出れば、私たちはあまりにも住む世界が違いすぎる。
なんだかそれを思うと、漠然と大きな不安が押し寄せてくる。