秘書 松山 SIDE
探偵みたいなことをするつもりじゃないんだけど、今日は南さんの会食には同席しなくて良いし、この後は何もないから磯崎花を食事に誘ってみる。
最初、今日はダメですってメッセージがあったのに、夕方にやっぱり時間が空いたとメッセージが来た。
B.C.Square Tokyoのエレベーターホールの前で待ち合わせをする。
磯崎花は、このビルの中のレストランで食事がしたいという。
「あんなにこのビルの完成に貢献したというのに、私ここのピザ屋さんしか行ったことないんですよ!全部制覇しなくっちゃ。」
松山さんのおススメはどのレストランですかー?と、エントランスの案内表示板を見上げている。
心なしか、彼女はきれいになったような気がする。
いつものジーンズ姿にちょっと変わったデザインのオレンジ色のショート丈のダッフルコートを羽織っていて、彼女の栗色の髪に似合っている。
このビルにはあんまりふさわしくないような格好でも、彼女のこのパリの街から飛び出てきたようなおしゃれな雰囲気がなんでもアリと思わせてしまう。
私たちは、七階の老舗割烹料理屋がプロデュースしている和食の居酒屋に入る。
ここは、厳選した日本酒がそろい、築地から直送の新鮮なお魚が食べられる。
「松山さんと食事なんて、久しぶりですね。」
キラキラした目で言う磯崎花。
うん、なんかすごくつやつやしてるけど。
それを指摘すると、磯崎花は苦笑して
「今、そんな忙しくないですから。 ちゃんとお風呂に入っているし、ちゃんと食べてるし。」
と言う。


