放課後。

 いつものように結菜が、体育館で練習している岩泉をみるって浮かれている。
 そして私は付き添いだ。

「休憩!」

 キャプテンの岩泉が号令をかけると、数人の女子がざわつきだした。
 部活の時間になると、女子達がバスケ部の男子目当てでやってくる。

 こういう雰囲気にはいまだ慣れなくて、私はいつも一歩後で見守ってる。
 でも今日はいつもと違って視線が……そう思ってバスケ部をチラリ。

 保健室のモテモテ1年くんだ。
 あのコ……なんかこっちをみてる?

 ほんと、結菜がいうように人気あるんだ。
 女子が浮かれてる。

 岩泉と話してるけど、あいつ変なこと言ってないかな。

 実は私と岩泉は幼馴染で、お互いよく知っている。
 知ってるが故の……あいつの恋愛に口を挟みたくない。 あいつのノロケとか、マジで気持ち悪いし。

 私の冷めた想いが届いたのか、岩泉は慌てて壁まで逃げた。

 しかも、あいつは結菜が好きなのに、結菜はバスケ部の祐希って人が好きなんだとアホな誤解をしてる。
 そこがあいつらしいって言えば、らしいんだけど。

 ん? あのモテモテくんも、二人の関係に気づいた?
 今度会ったら、余計なことするなって一言釘を刺しとかないと。

 私がそんなことを思いながら歩きだすと、結菜が慌てて追いかけてきて「置いてくな~!」って叫んでた気がした。