「君も元気がいいんだね。昼休みまで走り回って……」
「えっ?」

 彼は少し驚いたみたいだけど、窓からの視線を感じ納得したみたい。
 いつの間にか窓ガラスには体操着姿の男子生徒が数人、興味津々といったように覗いている。

「あぁ、それでね」

 そう言うと、彼らに向かって親指を立てポーズを決める。
 それだけでみんな盛り上がっていた。

「じゃ、絆創膏ここに置いとくから」

 私はそんな彼等に見向きもせず、彼の傷口に合わせた大きめの絆創膏を台の上に置いて保健室を出た。

 教室に戻る途中、私はある癖について思い出した。
 保育園の弟の怜が怪我すると、いつもおまじないをかけるみたいに絆創膏に絵を描いたりするんだけど、それを彼にもやってしまった。
 しかも園児が好きなキャラとか恥ずかしすぎでしょ。
 しかも、しかも!
 さっきのは大きかったから特別楽しくて……ついね、つい。