パーフェクト・インパーフェクト

✧︎*。


遮光カーテンを突き抜けてまぶたを触った、やわい光に目を覚ました。

隣にあったはずの温もりはすでに消えており、かわりにスマホにメッセージが送られてきていた。



『ねぼすけさん、おはよう。
 めずらしく全然起きてこないからそのままにしておいたけど大丈夫だった?

 朝食はテーブルの上に置いてあるもの、好きに食べていいよ。
 もちろん、無理して全部食べなくてもいいよ。

 部屋は好きに使っていいし、予定があれば好きに帰ってくれて大丈夫。
 もし夜までいられるなら、俺が帰ってからでよければ家まで送るよ。

 じゃあ、いってきます。』



彼は、いくつかに分けないで、ひとつの吹き出しに全部を詰めこむタイプの人だ。

縦に長い吹き出しを読みながら、わたしって本当に甘やかされているなあ、とつくづく思う。

やっぱり彼は女をダメにする男で間違いない。



『おはよう、超寝てた』
『いっぱいありがとう』
『お見送りできなくてごめんね』
『お仕事がんばってね』



いくつにも分裂した吹き出しを連続して送り、うさぎが投げキスしているお気に入りのスタンプを添えておいた。

彼にしか使わないスタンプ、つきあい始めてから買ったやつ。


カーテンを開け放ってリビングに行くと、お手製の朝食プレートが用意されていた。

隣のマグカップは、あとはお湯を注ぎ入れるだけのカフェオレ。


本当にすごい。
いつもホテルにでも泊まっている気分になるよ。

そこまでだらしない人間じゃないと自負しているけど、もしかしてわたしって干物なのかも、と感じてしまうくらいには、毎度感動する。