「ん……ね、このまま最後までして……?」
首にしがみついたままねだる。
けれど、そのとたん、わたしの知らないわたしの好きな場所を的確に見つけ出す指は、そっと離れていってしまった。
「ダメだよ」
「……なんで」
「約束しただろ」
持ち上げるみたいに抱っこされた。
起き上がった体、ぜんぜん力が入らなくて、座っているのも大変だ。
彼が支えるみたいに膝の上に置いてくれる。
「もう、いいじゃん。そんなの……」
「よくないよ。ほんと、こっちもぎりぎりのとこで理性保ってるんだから」
「理性なんて捨ててよ」
わたしを抱えたまま、床に落ちた下着を拾い上げながら、彼は笑った。
笑えるくらいにはぜんぜん、理性がしっかり残っているということだな。
くやしい。
ネイビーのレース素材。
面積ちっちゃめのそれを、ぴろっと彼が手渡してくれる。
ブラジャーとパンツ、顔色ひとつ変えないで拾い上げて、女の子に手渡すってヤバイよ。
心身ともに鍛えられすぎだよ。
どうなってんの。
「いまこの場で理性かなぐり捨てて最後までしたら、俺はたぶん自分のことほんとに嫌いになると思う」
ぜんぜん、意味わかんない。
わたしが泣いて嫌がっているならまだしも、恥をしのんでこっちから最後までしてってお願いしているわけで。
なのに、なにその理論?
ちょー自分勝手じゃない?



