「3人とも、いままでの彼女さんはみんな知らないって言ってた。紹介しなかったの?」
「うーん。そういう機会もなかったし」
「……もし、テーマパークで瀬名さんたちと遭遇しなかったら、わたしのこと紹介する“機会”もなかった?」
彼は本当に困ったという顔をして眉を下げた。
「なかなか意地悪に攻めてくるね」
そしてわたしの追及をかわすようにそう言った。
彼の防御力は、わたしの攻撃力を遥かに凌いでいる。
「だって、不思議だよ。みんなあんなに仲良しなのに、ひとりも知らないなんてことある?」
「ほんとに会うきっかけがなかっただけだよ。前も言ったけど、俺はあんまり自分のことしゃべったりするのが得意じゃなくて」
「……ふうん」
「その反応、まったく納得してない」
「うん、してない」
「しょうがないな」
ぽすぽす、頭を撫でるついでみたいに抱き寄せられた。
おでこにくちびるが押し当てられる。
こういうアメリカ人みたいなことを、彼はたまにする。
「あんまりおじさんのこといじめないで」
そして、茶化すように、誤魔化すみたいに、そう言った。



