パーフェクト・インパーフェクト



「えー、じゃあ当時から両想いだったんですか?」

「ないない! もうね、当時はほんと、大嫌いでした!」


打ち解けてくると、蒼依さんは美しく知的なだけじゃなく、すごく親しみやすい女性だ。


「だって15歳のころから、いまとまったく変わらなかったんですよ。ずっとブスっとしてて、すっごいウザくて。むこうもあたしのこと嫌いだったって言ってたし……」

「えーっ、そんな人をどうして好きになったのか気になります」


そのあたりに関しては、寛人さんサイドの気持ちの変化もぜひお伺いしてみたい。


「どうしてって聞かれるとむずかしいですね。そういう杏鈴ちゃんは、どうして俊明さんを好きになったんですか?」


ききたーい!
と、別で瀬名さん用だというガトーショコラに着手している季沙さんが声を上げた。


「ていうか、俊明さんほどのスペックをもってすれば、あの上月杏鈴ちゃんを捕まえることができるのかと本当に感動しました、あたしは……」

「ねー、ほんとだよね! デート現場見たときはこうちゃんとふたりで絶句しちゃったもん」


なんだかあまりに過大評価されているようでどぎまぎする。


だって、わたしはけっこう、チョロい女だったと思うよ。


俊明さんがどう思っているかはわからないけど。

わたしのほかに、どんな女を相手にしてきたのかは、わからないけど。