身長がわたしと同じくらいある。
そんな、さっぱりとした印象の美人さんは少しはにかんで、そっと右手を差し出してくれた。
恐る恐る、握ってみる。
とても美しい顔をしているのに1ミリも愛想がない、仏頂面のあの弟さんが、トップアイドルのユカっぺを捨て置いてまで選んだ女性だというから興味を持っていたのだけど。
そんな軽薄な好奇心を抱いてしまったこと、かなり後悔した。
さらりとした感触の指先は気持ちよくて、少し恥ずかしそうに笑む顔が本当に魅力的。
すごく、お似合いだなあって。
あの不機嫌そうなお顔を思い出して、瞬時に納得してしまったくらい。
「杏鈴ちゃん、いらっしゃい!」
深い藍色のエプロンを着けた季沙さんがひょっこり、奥から顔を出す。
「蒼依ちゃんもお出迎えありがとね。まだみちるちゃん……アキくんの奥さんは来てないんだけど、先に始めちゃおっか。入って入ってー!」
言われるがままふたりについていくと、大きな窓の開けたリビングには広々としたアイランドキッチンがあった。
全部がふたり分ある空間。
洗練された、おしゃれな家具や小物たち。
まさに新婚さんって感じだ。
かわいい!



