「えーっ、ほんとに? マジで? 当たってるの?」
「やだ、声大きいっ」
「アンちゃんちなんだからいいじゃーん」
フンフンとご機嫌に鼻を鳴らしたリアが、生ハムをぺろりと吸いこんだ。
「飲みの席でもけっこういい感じだったもんね? そうかー、アンちゃんはああいうのが好きなのかー」
「ねーほんとにやだ。ていうかリア、あのとき酔っぱらってたじゃん。なんにも覚えてないくせに!」
「わたしは泥酔はしても、記憶はいっさい飛ばさない酒飲みなので」
どや顔でそんなことを言われましてもね!
「攻略中? それとも攻略済み?」
「ゲームみたいに言わないでっ」
「えー。だって恋愛なんてリアルにプレイできるゲームみたいなものでしょ」
数々のオトコたちを食ってはぶん投げていると、こういう感覚になってしまうの?
こうはなりたくないと思いつつ、シャンメリーのグラスを置いて、深呼吸をして。
たかが友達に報告するのにもこんなに勇気がいるのに、よく本人に好きって言えたよな、といまさら自分に感心する。
勢いと、深夜テンションの魔法は、あると思う。
「……おつきあいすることになりました」
どひー、みたいな。
どえー、みたいな。
日本語でも外国語でもない擬音が、ぽてっとした色っぽいくちびるから飛び出した。



