「つまり、わたしはたぶん……あなたのことが好き……です」
完全に勢いだった。
勢いだけでぶちまけてしまった。
この期に及んで子ども扱いされて、いつもみたいに笑われたら、もう顔面ぶん殴ってやろう。
眼鏡を粉々に砕いてやろう。
それなのに手は震えるし、うまく呼吸ができなくて、死んじゃうかと思うくらいに苦しい。
なんだかわけもなく涙が出そうだ。
「……真剣に言ってる?」
彼はもう笑ったりしなかった。
そのかわり、心底戸惑っているふうにそう言った。
そうだよね。
あなたのこと、まだぜんぜんよく知りもしないのに、こんなのっておかしいよね。
「はい……真剣です」
それでもわたし、本当は、真冬の海ではじめて会ったときから、あなたにどうしようもなく惹かれていたんだ。



