いったいわたし、今夜どこで寝るんだろう?


熱くて黒い液体を口に流しこんでも、もはや味なんかわからないほどの、すさまじい緊張。

勢いでぜんぶ飲み干してしまったわたしに、ちょっと経ってから戻ってきた彼がけっこう真剣に驚いていた。


「大丈夫? いま風呂溜めてるからちょっと待っててな」

「ふっ……ろ!?」

「うん。入るだろ?」


そうだ、そうですよね、

そりゃ入るに決まってますよね。


わたしはそのためにパンツを買ったんだ。


「あ、りがと、ございます」


カタコトでしゃべるわたしに彼はまた笑って、静かにマグカップに口をつけた。

ソファに隣どうし、運転席と助手席よりもうんと近くて、あと数センチで触れそうな肩が火傷しちゃいそうに熱い。


手持ち無沙汰でそわそわしている途中、いきなりシュピーンと思い出す。


「あっ……あの!」


コンビニの袋を漁った。

パンツだけは見られないようにしつつ、渡そうと思っていたそれを取り出す。


ホイップとカスタードのシュークリーム。

おずおず差し出すと、なに、と口元に微笑みを浮かべたままの彼がちょっと体をこっちに向けた。


「おうち、急におじゃましちゃったのと……あと、せっかくお誕生日だったのにわたしなにもできてないから。ほんとにほんとにしょぼいですけど!」


あとパンツといっしょに入れちゃってましたけど!


「あ……でも甘いもの、そんなに好きじゃないんでしたっけ」

「得意じゃないだけで、好きだよ」


よくわからない。
得意と好きは違うの?


「ありがとう。お風呂入ったらあとでいっしょに食べようか」


本当は寝る前にカロリー摂取するのは控えているのだけど、きょうくらいはべつにいいよね。いけちゃんにはナイショ。