そのままあっという間に距離を詰められてしまった。 「卒業おめでとう」 「おう、加藤もおめでとう」 あの日からずっと、加藤のことが苦手だ。 それでも今度は目を外らすなく話す。 「あーあ。やっぱ好きだなぁ。宮瀬のこと」 困ったように、だけど見とれてしまうような笑顔で加藤がそう言った。 一年のあの日。 俺のことが気になっているからとカラオケに連れて行かれて。 そのくせ『意外とガキなんだね』なんて言われたのが最後だったのに。 俺には加藤が理解できない。 全くできない。