「お前はこんなところで何をしているんだい?」

「お父さんとお母さんとはぐれてしまったの」

「そうかい。それは困ったねぇ」


ヒッヒッヒッと下品に笑う狼の口からは、大きな牙と真っ赤な舌が見えています。


「もしかして、わたしを食べてしまうの? 」

「お前みたいなチビを食べたところで、腹の足しになりゃしない」


近寄ってくる狼の足からは、大きな爪が見えています。


「ここは恐ろしい森だから、わしの家で待っていればいい」


狼は大きく口を開いて子うさぎをくわえると、運んでいきました。