「秀一さんは私が知らない事を沢山教えてくれたわ。 毎日が辛くても、秘密裏に会えると思うと救われた。 もしかしたら、この時には、秀一さんを好きになっていたかも知れないの。 けれど、その事を婚約者と両親にバレた時は、殺されるかと思った。 目の当たりにしてすぐに逃げないと取り返しのつかない事が起こってしまうって思った。
秀一さんに全てを話したら、一緒に逃げようって言ってくれた時は嬉しかった。 その腕にすがったわ。 白浜先生の協力のお陰で逃げ出す事もできた」
そこからは、知らない土地でアパートを借りて同棲を始めた
ゆとりはなかったけれど、家事をして、夜遅くまで仕事をしているお父さんの帰りを待つ日々
はじめは不安しかなかったけれど『ただいま』と『おかえり』が言い合えるだけでも幸せだった
そんな中で私がお腹の中に知った時は、お父さんは子どものみたいにはしゃぐ程大喜びしたそうだ
「フフッ、あの人ったら、普段はしっかりしているのにこの時だけはそそっかしかったわ」
そう言って、お母さんは小さく笑った



