「よかったわ、翼にお友達がいっぱいいて、恋人もいて毎日が充実しているのね」
「……」
お母さんが言う今の充実、というのはつい最近の事
幸せだと感じるのも数ヶ月前までは思いもしなかったんだ
居場所だと思っていた場所で裏切りにあい、家族にも見放されたあの日
私の中で黒く染まっていく日常に終わりを告げたのは一筋の白く強い光
それは大事なもので……いまでも壊れないようにそっと包み込んでいる
「わたし、高校行ってないの。 中卒で何一つなりたいものが見つけられなかった。 両親がくれた服を身に付けて、両親が決めた婚約者とこのまま暮らすんだと思っていたわ。 あることが発覚するまではね…………」
お母さんがポツリと語りだしたのは昔の頃
昔から"のんびり屋"とか"ぼんやりさん"とか言われていて、お母さん自身も周りからの印象を特に考えずに生きてきた
わからなかったら教えてくれる人がいる、困っていたら助けてくれる人がいる……それがいつしか当たり前だとも思っていたらしい



