「……男の人に優しい、だなんて初めて言われたの久し振りだわ」
そう言って小さく笑った顔は翼にそっくりだった
「よくぼんやりしてるとは周りから言われるの。 でも優しい、と言ってくれたのは秀一さんと星夜君。 初対面なのに向き合ってくれるところも同じね」
「! ……あ、すいません」
今更だが、俺は翼の母親に対して凄くでしゃばっていた
言われるまで気付かなかった事に恥ずかしい気持ちになる
「ううん、いいのよ。 でも、そっかぁ……フフッ」
何かを思い出すように笑う姿はどこか嬉しそうだ
「翼があんなに素敵な女の子になったのは星夜君がいれくれたからなのね」
「…………あの」
何の事かわからずに頭の中ではすっかりと疑問符が浮かび上がっていた
「…………ーー……ーー」
そんな時にヒソヒソとした声が別方向から聞こえてきた
疑問が晴れない状態で意識がそっちに向いてしまうのは失礼だが仕方がない状況で……



